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自動車産業再編と鉄鋼需要

 日産自動車と本田技研工業(ホンダ)の経営統合がささやかれる中、統合が実現するかに関わらず、サプライチェーン(SC)再編への注目度がにわかに高まってきた。すでに日産は、三菱自動車工業とのアライアンス関係の中で総社地区を代表とするSCの再編が進んだ経緯がある。さらに、日産はカルロス・ゴーン時代に鉄鋼メーカーも含めて派手なSC再編も実施した経緯があり、かつてを知る古参の部品メーカー関係者は、先行きを注視している。
 一方、トヨタ系ではやや感じが違っているような情報もある。
EV戦略で課題が多く残る日産・ホンダの両社の経営統合は、三菱も含めて自動車産業全体の再編へと進んでいくため、圧倒的に財務基盤も強く体制も整ったトヨタへの信頼感が増す。かつ、認証不正問題などで逆風に立たされた状況がようやく改善している。
 EV化戦略を現実的に着実に進めるトヨタでは、
2030年をめどにSCの再編が予想されている。EVは内燃機関に比べてエンジン部品などを中心に部品点数が大きく減少するほか、構造設計も基本的に変わる。ものづくりの基本が変化して自動車向け鋼材需要にもかなりの影響が出るものと現時点では見込まれている。
 こうした環境下で、少なくとも日産の
SC再編の勢いが強まるのは確実視され、その中でのトヨタ系部品メーカーの動向が気になる情勢になるかもしれない。